二重否定は肯定?(累積否定)


古期英語や中期英語では、文中の否定形をとりうる要素は、すべて否定形にするのが普通でした。
二重三重と否定を繰り返すのです。
否定語を重ねて否定を強めようとするのは心理的に自然なものとして、他国語にも見られます。

だから、アメリカ人で二重否定を使う人はいます。(黒人英語では普通に見られ、イギリスのロンドンの下町言葉(コックニー)でも見られます。)

また、二重否定は否定の否定だから、肯定だといわれます。
しかし、これは文法上「こうなる」というものではありません。
ただし、学校文法では誤りとされています。

二重否定が肯定だとされるのは、実は簡単な代数学からの借り入れです。(否定の否定は肯定だという)


さて、アメリカの高校卒業まで二重否定は教えないとしても、
親やまわりの社会が教えています。これは日本も同じです。

It's not that I do't like him.
彼の事を好きじゃない、というわけではない。



そして、二重否定が否定語を重ねて強く否定する場合が実際にはよく使われています

You don't know anything.
お前は何も知らない。

強くいうと
You don't know nothing.
お前は、ほんとに何も知らない。(学校英語では×でしょうが、映画スタン・バイ・ミーではこの意味で使われています)

同様に

Don't say nothing.ほんとに何もいうな。

I don't hear nothing.ほんとに何も聞こえない。

Nobody never went and hinted no such a thing.
誰一人そんな事をほのめかす人はいなかった。
(ディケンズ:デビッドコパフィールド)
あらすじはここで読めます。

デビッド・コパフィールド

当然ですが私たちは使わないほうがいい。
人が使う二重否定の意味を知っておいた方がいい、という場合もあるというだけです。




double negative (二重否定)が、「相殺して肯定になる」という論拠は初歩的な代数学の借り物であり、文法とは無関係である。

「both A and B」を否定すると(ド・モルガン(数学者)の法則)
1、現在はAもBも肯定される状態
2、これを否定することは、
Aではないか、またはBではないかの状態

AでもBでもない状態があり得る。
つまり、
Aではないが、Bである状態
Aであるが、Bではない状態
Aでない状態かつBでない状態
の3つがあり得る。
当初は、この3つの状態を表すのに not both A and B が使われていたが、後に
neither A nor(最近はor) B の表現が出来た為、最後の状態は使われなくなりました。


アメリカ人も誤って二重否定をよく使うというからコミュニケーションには注意が必要だ。
(アメリカの学校では大学に入ってから文法を習うらしく、学生も文法が嫌いらしい。)

そんな二重否定だがアメリカでも親や教師はダメだと教えている。

I haven't got none.といえば、

I do have some.=いくらか持っているということになる。


しかし、昔はりっぱな地位をもっていた。
チョーサーも「カンタベリー物語」で二重否定を使っている。

近代語にして書くと、

He never said nothing bad in all his life to nobody.
「彼はその生涯に、いかなる人に対してもどんな悪いことも言わなかった。」

現代の正しい英語では、
nothing は anything とし、nobody は anybody にしなければならない。


「カンタベリー物語」の映画のあらすじは、

カンタベリー物語
goo の映画紹介です。




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